定期航空協会
■JAL907便ニアミス事故に対する東京高裁判決に関するコメント
(2008年6月18日)

2001年1月に静岡県焼津市上空で発生したJAL907便ニアミス事故に対する控訴審判決が2008年4月11日に東京高等裁判所であり、「管制官ら個人の刑事責任追及は相当でない」として無罪とした一審判決を「事実誤認と言わざるをえない」と棄却し、被告人である管制官2名に有罪が言い渡された。

一般的に過失を問われるような事故において、個人の刑事責任を追及することは国内法で認められたものであり、尊重されるべきものである。一方で、特に公共性の高い分野におけるシステム性の事故においては、真の原因を究明し、再発防止を徹底することも、国民にとって極めて重要であることを忘れてはならない。

航空事故のような複数の要因が連鎖連動して発生するシステム性事故においては、エラーの背後に不安全要因が隠れているのが常であり、それを突き詰めなければ真の事故原因を究明することはできない。したがって、個人の責任に焦点を当てるだけでは真の原因を見逃すおそれがある。真実を明らかにし、航空の安全をさらに発展させるためには、技術的な面以外に、人間や組織の関与、すなわちヒューマンファクターの解明を行うことが重要であり、事実関係に基づいて、関係者からより多くの証言を引き出すことが必要不可欠である。

欧米の諸外国においては、航空事故の関係者が刑事責任を問われるケースは故意または重過失を除き、極めて稀である。これは、過度に個人の責任を追及するあまり、関係者の心理的な萎縮を招き、事実を証言することを控えるような事態は避けるべきであるという考え方、すなわち責任追及よりも事故原因の究明を優先するような考え方が定着しているためである。

今回のような航空事故においては、直近の行為や事象だけでなくヒューマンファクターも含め、背後に隠れた要因を明らかにし、再発防止を図ることが重要であって、被害結果の重大性という観点等から、過度に個人の刑事責任が問われることがないような配慮が求められる。

以上



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