定期航空協会(会長 兼子勲:東京都港区芝)は、8日、扇国土交通大臣に羽田空港の再拡張をはじめとする大規模空港整備への公共事業費の重点的配分を求める要望書を提出しました。
わが国の航空利用者数は、今や1億4千万人を超え、今後も高い成長が期待されています。地方空港の配置は基本的に完了し、空港整備に残された課題は大規模空港、とりわけ需要が最も集中する首都圏の空港整備を早急に進め、容量不足というボトルネックを解消することにあります。
首都圏の空港容量拡大は、航空会社間の競争を一層促進し、運賃の低下と利用者利便の向上をもたらします。また、ボトルネックの解消による便数の増加は、既存空港の効率性を高め、空港や航空路を利用するコストを低下させます。そして、これらの効果は、航空ネットワークを通じて全国に波及します。
一方、空港整備の主たる財源である着陸料などの利用者負担は、世界に突出して高い水準となっています。また、これまでに、大規模空港整備に対して2.5兆円を超える借入金が投入されています。そのうち空整特会の債務残高は約1兆円となっており、その元利金の返済額は、空整特会における空港整備事業費の約4割に達しています。
今後、大規模空港の整備を進めるにあたり、その財源を更に借入金に頼ることは、特会の歳出構造を硬直化させるだけではなく、中長期的に国民負担を増大させることになります。
これまで、わが国の空港整備への公共事業費配分は、著しく低い水準に位置付けられてきましたが、大規模空港の土地、滑走路などの基本施設等は、国の基本的な社会インフラでもあり、かつ、その整備の経済波及効果は極めて大きいと言えます。
このような状況を踏まえ、定期航空協会は、扇国土交通大臣に対して、羽田空港の再拡張をはじめとする大規模空港整備には、過去の経緯にとらわれることなく、一般財源を重点的に投入するよう要望いたしました。
国家財政が逼迫する中、限られた公共事業費を効果の大きい分野に重点配分することが求められています。経済波及効果の極めて大きい大規模空港整備への重点投資の必要性についてご理解いただければ、幸いです。